凍結保存
凍結保存の技術が向上したことにより、生存率が上昇し、以前では難しいとされていた卵子や卵巣組織も凍結保存ができる世の中になってきました。
▲成熟卵子
▲3日目移植胚(8細胞期)
▲5日目移植胚(胚盤胞)
受精卵(胚・卵子)について
2001年、当院にて日本(国内)ではじめての『凍結・解凍卵子』にて出産(男児)に成功しました。
なお、卵子凍結は不妊治療している方を前提にしております。
当院では、医学的適応以外の未婚女性の卵子凍結は実施しておりません。
生殖補助医療の進歩により、様々な排卵誘発が行われ複数の卵子や受精卵(胚)を得ることが可能になりました。しかし、それに伴い移植する胚を増やした場合には双子や三つ子などの多胎妊娠が増加することになってしまいます。多胎妊娠では、未熟児など胎児に対するリスクだけでなく、母体に対する危険性も非常に高くなります。そのため体外受精においては一度に移植する胚の数を制限しています。
凍結保存は、多胎妊娠を防ぎ、移植できなかった胚を次回に移植し妊娠を期待することを目的として出来た技術です。
凍結適応として多胎妊娠防止以外に、排卵誘発における副作用である卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の予防、子宮内膜環境が妊娠に適していない場合(子宮筋腫やポリープなど)などは、治療・静養後に胚移植を行うことができます。
凍結保存は、液体窒素中(-196℃)の中で保存され、胚の保存期間は理論的に半永久的と言われています。
さらに、保存をしておくことによって、体外受精による第二子を希望される方、諸事情により長期間治療をお休みされた方など、採卵を行わずに胚移植を行える(=妊娠するチャンスが増える)というメリットもあります。
▲施錠された保存タンク
▲マイナス200℃では半永久的に保存可能
精子の凍結保存
人工授精や体外受精には精液が必要不可欠です。しかし、治療日当日にご主人が毎回必ず来院できるとは限りません。そのような場合、前もって精子を採取し、凍結保存しておくことが可能です。なお凍結方法は、採取した精子を専用の保存液と混ぜて液体窒素中(-196℃)に凍結保存します。
※この技術は睾丸腫瘍や白血病などの治療で将来精子を得る事が困難となる場合にも役立っています。
▲保存タンクは施錠します
▲精子専用の計算盤で精子を確認