体外受精・胚移植
一般に自然妊娠の場合には排卵してから1週間後に着床すると言われています。体外受精は、卵管内で起こっているこの1週間の出来事を体の外で再現(発育を確認)しながら、発育良好な受精卵を子宮内に移植して妊娠を期待する方法です。
ここではスズキ記念病院における体外受精・胚移植の方法について分かり易く説明します。
Step1:排卵誘発
排卵誘発は、複数の卵子を回収するために行います。現在では、排卵誘発剤(注射・飲み薬など)を使用する方法が主体です。排卵誘発の方法は女性ホルモンの状態や過去の排卵誘発の結果により使用する注射量・内服薬の種類が変わります。当院では、排卵誘発の注射は生理が始まり3日目より連日行います。まれに、注射法では副作用が強く起こることがあります。注射法より女性への負担を軽減すべく、飲み薬だけで排卵誘発する方法(単剤誘発法)も実施しております。卵胞径やホルモン値を診ながら採卵直前まで管理していきます。排卵誘発剤を使用する事で赤ちゃんに影響が及ぶことはありません。その他の生殖医療で使用されるお薬も同様です。
※前もって、看護師より説明(講義)を受ければ“自己注射法”を受けることもできます。(ご希望の方は、治療が始まる前に申し出てください。)
▲明るく、開放的な待合スペース
▲患者様と信頼を築く面談室
Step2:採卵
採卵は、排卵直前の卵巣内卵胞に膣壁より針を穿刺し、吸引して卵子を回収します。卵胞とは、卵子が入っている袋で卵胞液によって充満されています。当院の採卵法は、軽い麻酔を使用し、手術室で行います。時間は約30分位で終わり、当日には帰宅できます。
ご主人には当日病院内で採精(精液を採取)していただきます。自宅で採精したい方は前もってお話ください。
▲清潔な環境の培養室
Step3:受精~培養
得られた卵子と精子は全て無菌的に操作されます。精子は、精液の中から優良精子選別法にて優良精子(運動良好精子)を回収します。卵子は培養液に入れられ、インキュベーターと言う培養器に入れます。インキュベーターは体外で卵管内の環境を再現する機械で、温度・湿度・pHなどを調整しております。お預かりした卵子・受精卵を3~5日間程度、インキュベーター内で培養していきます。
▲タイムラプスインキュベーターと専用の受精卵を培養する容器
当院では他人との間違いをなくすため『一人に一台』をモットーに現在タイムラプスインキュベーターと他6台を稼動させています。また、インキュベーターの開放を最小限にし、卵子・受精卵の質低下を防いでいます。
採卵で得られた卵子は追加培養し、精子と一緒にします。その後、精子と卵子が自然に受精するのを待ちます。受精率はご夫婦により変動し、平均は70-80%位です。
また、ご主人の精子の状態が不良の場合、過去の体外受精で受精率が低かった場合等は顕微授精(ICSI)を実施しています。
▲経験豊富なスタッフの確かな目
▲顕微鏡を使用しての高度な技術
Step4:胚移植
体外で発育させた胚(受精卵)を子宮腔内に戻し(移植し)、妊娠を期待します。
当院では、患者さまの希望と受精卵の発育状況に応じて移植日が決定し、採卵をしてから3日目か5日目のどちらかに行います。
胚移植は、受精卵を入れた軟らかいチューブを超音波で確認しながら子宮腔内に挿入し、最も良い位置に胚(受精卵)を静かに押し出します。
当院では、手術室で胚移植を行いますが、痛みも無く短時間(5分程度)で終わるため麻酔は使用しません。移植後は、病室のベットで安静ののち、帰宅となります。