生殖補助医療のQ&A
皆様からお問い合わせにある質問から、多くあるものをまとめました。ご参考にしてください。
質問一覧
Q1 スズキ記念病院に行きたいのですが、どんな準備が必要ですか?
Q2 土曜日は混みますか?また、比較的すいている時間帯はありますか?
Q15 タイミング法で、「卵胞が三つある」と言われました。三つ子になるのでしょうか?
Q16 なるべく『お金』と『時間を』費やさないで体外受精を考えていますが?
Q17 世界的に男性の精子が少なくなっていると聞くのですが本当ですか?
Q23 受精卵を凍結保存しているのですが、期限はありますか?
Q27 子宮筋腫を持っているのですが、取ってから不妊治療をした方がよいのでしょうか?
回答
Q1 スズキ記念病院に行きたいのですが、どんな準備が必要ですか?
A はじめてスズキ病院に行こうと思っている患者さんは、性周期の2~4日目(生理開始2~4日目)に来院してください(検査をスムーズに行えます)。その際、基礎ホルモン検査(採血検査)を行います。また、基礎体温表をつけている患者さんはご持参ください。お二人で来院するのがベストですが、奥様だけでも構いません。ご主人が来院される場合は、精液検査を行いますので、禁欲期間を5日前後(3日以上)空けて来院してください。
なお、費用は奥様だけの来院ですと1万5千円以内には収まりますが、ご主人と一緒ですと約2万円になります。
Q2 土曜日は混みますか?また、比較的すいている時間帯はありますか?
A 土曜日は午前中だけの診察になりますので、大変混み合います。可能であれば、早い時間に来院していただくことをお薦めいたします。
Q3 スズキ記念病院では、担当医制ですか?
A 当院では、担当医制ではありません。
Q4 妊娠しやすい時期はいつですか?
A 一般に基礎体温曲線が、低温期から高温期へ移行した日が排卵日の目安だと言われています。卵子は、排卵してしまうと1日後には受精できなくなります。そのため夫婦生活は、排卵前か排卵当日に行うことが有効なのです。精子は女性の体内で数日は生きますので、排卵前の夫婦生活でも妊娠(受精)には問題ありません。
Q5 基礎体温表のつけ方は?
A まずはぐっすり睡眠をとることが基本です。また、測定中は体温計を舌の下側に入れ固定し、体は動かさないように気をつけてください。できれば、毎日同じ時間帯に測定してください。使用する体温計は「水銀計」を推奨しています。デジタルで基礎体温曲線が上手く出ない場合は、水銀計で測定してみてください。
Q6 生理の周期が安定しないのですが?
A 一般に低温期が14日間(12~20日間)、高温期が14日間前後、合わせて28日周期の女性が多いと言われています。生理周期が長くても、排卵している方もいます(その場合、低温期が長くなります)。また、生理があっても必ず排卵しているとは限りません。排卵しているかどうか見るためには、基礎体温表をつけなければ分かりません。そのほか、排卵をみる方法としては薬局で排卵を調べる試薬も購入できます。
よく生理周期が乱れる方は、ホルモンバランスを欠いている事があります。その方は、生理が始まって2~4日目に行う基礎ホルモン検査をお勧めいたします。
Q7 肥満と不妊症とは関係ありますか?
A 肥満患者には排卵障害を伴っていることが多く、多嚢胞性卵巣症候群はその典型的な疾患です。同様に、高インスリン血症となっている方も多く、それが排卵障害の原因になる場合があります。
気になる方は検査をお勧めいたします。
Q8 不妊治療の日数はどの位かかりますか?
A 治療されてすぐ妊娠する方もいれば、何年か通院後に妊娠する方もいらっしゃいます。
妊娠は女性の年齢が若い方が妊娠しやすくなっていますので、35歳以上の女性にはお早目の治療をお勧めいたします。
Q9 不妊治療における排卵誘発はどの位かかりますか?
A 排卵誘発の種類と治療内容によって違います。 例えば、クロミフェン(経口排卵誘発剤)は5日間にわたって自宅にて内服します。HMG注射の場合、5~10日間、毎日通院して筋肉注射をしなければなりません。
Q10 痛い検査や治療が苦手なのですが?
A 検査では、子宮卵管造影で痛みを感じる女性が多いようです。そのため、不安も多くなりがちです。希望があれば、当院では痛み止めの飲み薬や注射も使用します。我慢せず、お話ください。
なお、体外受精での採卵は、麻酔を使用します。数時間後には自分で帰宅できる軽い麻酔を使用しています。
Q11 排卵誘発に使用する薬の副作用が心配ですが?
A 飲み薬では重篤な副作用に悩ませられることはほとんどありません。しかし、発熱や目のかすみがあることもあります。そのような場合は、医師に相談ください。
なお、注射を使用した場合には、卵巣の反応に充分気をつけて排卵誘発しなければなりません。その分、検査をするため通院期間も多くなります。
Q12 排卵誘発を使用した卵子の具合は?
A 通常、毎月排卵する個数は1ヶと言われています。排卵誘発剤を使用する事によって複数排卵させることができ、妊娠率(妊娠期待度)も上がります。排卵個数に関しては、個人差がありますが、通常は2個~3個排卵されます。排卵誘発による卵子の機能や中身に全く問題ありません。奇形率にも問題ありません。
Q13 タイミング法での、妊娠する確率は?
A その人の年齢や不妊年数、夫婦生活の回数によっても違いますが、ひと月に妊娠する確率は10%にも満たないと言われています。意外に妊娠することって難しいと思われるかもしれません。
Q14 タイミング法はどのくらいの期間が目安ですか?
A 1回の治療で妊娠する確率が約10%弱ですから、最低でも6周期は行った方が良いです。
Q15 タイミング法で、「卵胞が三つある」と言われました。三つ子になるのでしょうか?
A 卵胞が大きくなるにつれて、中の卵子も成熟してきますが、排卵されずに消えてしまうこともありますし、全部が排卵・受精することもあります。卵胞が三つあるからと言って、必ず三つ子になるとも、ならないとも言えないのです。当然、自然妊娠よりは排卵される卵子が多いわけですから、多胎妊娠(双子・三つ子)の確率は高くなります。ちなみに、経口排卵誘発剤での多胎妊娠率は2~3%です.
Q16 なるべく『お金』と『時間を』費やさないで体外受精を考えていますが?
A 患者さんの強い要望で、通院日数を極力少なく治療を行える『単剤誘発法』を始めました。この方法は、ある程度の条件が必要になります。また、自己注射法も実施しております。当院医師にご相談ください。
Q17 世界的に男性の精子が少なくなっていると聞くのですが本当ですか?
A わかりません。ただし、不妊原因の半数近くが男性不妊なのは事実です。これは「環境ホルモン」が何らかの影響を与えているとも言われています。環境ホルモンは「内分泌撹乱物質」の総称で、たくさんの種類があります。有名なのはダイオキシンがありますが、動物レベルでは原因解明も進みつつあります。今後、男性不妊症は増えてくるとされているのです。
Q18 男女産み分け法について教えて!
A 男女生み分け法として、女性になる精子を集める分離試薬(パーコール液)に精子を重層して遠心分離する方法が使われてきました(男性の精子だけ集めることは出来ません)。
しかし、平成6年に産婦人科学会が『当分の間、パーコール液の使用はしない』との見解を出しました。その見解を守り、当院ではパーコール液の使用しておらず、男女産み分けは行っておりません。
Q19 体外受精での成功のポイントは?
A 体外受精の妊娠率を上げるためには、良い受精卵が必要になり、良い受精卵を得るには良い卵子が必要になります。また、最近の報告では、「精神的安定」も妊娠成功の鍵を握っているとされています。
Q20 受精卵と受精卵のグレードについて。
A 受精卵のグレードは卵割が均等であるものはグレード評価が高く、大小不同のあるものはグレード評価が低くなります。なお、受精卵のグレード評価が低いからと言って異常な子供になると限りません。あくまでも、低評価の受精卵では妊娠期待率が低下してしまいます。生まれてきた赤ちゃんの状態と受精卵のグレードとは全く関係ありません。
Q21 体外受精で生まれた子供の奇形率に関して。
A IVF・ICSIで妊娠した赤ちゃんに奇形が生じる確率は当院データでは、同一条件で自然妊娠した場合と比較して差はありません。しかしながら、生殖医療で妊娠した場合、流・早産率は高くなります。この理由には、生殖医療を受ける方の年齢が高い傾向にあるからです。
Q22 体外受精と分娩方法について。
A 通常分娩と相違ありません。しかし、不妊治療をされる方は、高年齢の方が多いこともあり、赤ちゃんの安全性を重視・やっと出来た“貴重児”であることも相まって帝王切開を希望される方も多いようです。
Q23 受精卵を凍結保存しているのですが、期限はありますか?
A 基本的には1年です。しかし、希望により延長される場合は、延長料金が発生しますが出来ます。なお、凍結保存期間が長くなっても、受精卵の質が低下することはありません(理論的は凍結した状態のまま保存が可能です)。
Q24 不育症の検査とは?
A 3回以上流産を経験した人の事を「習慣性流産の患者さん(不育症)」と言います。このような患者さんには、妊娠継続が出来ない原因があります。これらの原因を知るために、様々な検査があります(例えば、染色体検査・ホルモン検査・子宮の奇形などを調べる検査等)。気になる方は、『習慣性流産の検査』をおすすめします。当院医師にご相談ください。
Q25 流産のしすぎで妊娠しづらくなる事はありますか?
A 妊娠しづらくなるケースもあります。まれに、流産の手術の影響で卵管に炎症を起こし卵管が詰まる場合、子宮内腔に癒着を起こす場合などが報告されています。
なお、人工中絶と不妊症の因果関係は分かっておりません。
Q26 着床前診断について。
A 着床前診断は体外受精で得られる、受精卵の細胞を複数採取し、異常がないか検査する方法です。両親いずれかに遺伝性の病気が認められる場合に実施されます。日本では条件(遺伝カウンセラーなど)を満たしている施設での実施が認めています。現在では数箇所の大学病院が該当し、行われております。この方法を利用して、男女産み分けをすることも出来るため、実施施設には厳しい条件があるのです。当院では行っておりません。
Q27 子宮筋腫を持っているのですが、取ってから不妊治療をした方がよいのでしょうか?
A 子宮筋腫のある場所・種類・大きさによっては取ってから治療したほうが良いと言われています。まずは検査からはじめましょう。
Q28 性行為感染症ってなんでしょうか?
A 文字通り「性行為」にて感染する病気です。HIV(AIDS)、HBV・HCV(肝炎ウイルス)などが有名です。他に、クラミジア・カンジダ・梅毒・淋病・トリコモナス・尖圭コンジローマがあります。近年クラミジア感染後に卵管炎を引き起こし、卵管が詰まってしまう(不妊症になる)という報告が多く見られます。クラミジア感染は、自覚のない患者さんも多いようです。気になる患者さんは検査する事をおすすめします。
Q29 冷え症と不妊の関係はありますか?
A 間接的にあると思われます。冷え症は抹消に血液が行きづらいために起きます。当然、体の中の臓器にも血液循環が起こります。不妊患者さんの中には、子宮の血流が少ない患者さんもいます。この現象は着床しづらい事を意味しているのです。
冷え性には様々な原因があり、対策もそれぞれに合った方法が必要になります。自分に合った治療方法を見つけましょう。冷え症に効く食べ物や運動などをおすすめします。
Q30 食べ物と不妊症の関係はどうですか?
A 特別ないと思われますが、活性酸素を取り除く食事をお勧めします。活性酸素はストレスが原因とも言われています。ストレスは万病の基なのです。 また、食べ物によっては、『血の巡りを良くするビタミンEが豊富』『新陳代謝が高まる』『抗菌作用がある』『リラックス効果がある』『食物繊維が豊富』のような食材があり、このような食材でのお食事をお勧めいたします。 例えば、あしたば・アボカド・ざくろ・にんにく・かぼちゃ・たまねぎ・トマト・いも類・いくら・牡蠣・鮭・豚肉・アーモンド・胡麻・黄な粉などは良い食材の代表です。 治療をお休みしている時に、体調改善のためにいかがでしょうか。
Q31 不妊の人は子宮癌になりやすいって本当ですか?
A 子宮癌には子宮頸癌と子宮体癌があります。頸癌の好発年齢は30歳以上、体癌では50歳以上と言われています。不妊症との関係は無いと言われていますが、不妊治療される年齢層が頸癌好発年齢ですので、子宮頸癌検診をおすすめいたします。